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ビジネスの拡大に伴い、合同会社から株式会社へ形態を変更することが可能です。
組織変更という手続きになりますが、実際には、既存の合同会社を解散し、新たな株式会社を設立することになります。
いくつか組織変更における要件といえる点がありますので、そちらを紹介しておきます。
・取締役会設置の株式会社へ組織変更する場合は、取締役が3名以上、監査役が1名以上必要です。
・組織変更の効力発生日までに総社員の同意を得ていること
➡この点については、主要取引先や資金調達を行っている場合は金融機関等の利害関係者には、事前に合同会社から株式会社へ組織変更を行いますという通知を行う必要があり、この点も催告としての取組が必要になります。また、官報への組織変更の公告掲載も必要になります。
以上については手続きの流れの中で詳しく後述していきます。
組織変更手続き全体としては、前述した催告や公告の手続きがあるため、最短でも一カ月以上はかかります。以下、必要な手続きや準備を順番に解説していきます。
ここに関しては以下の内容を計画書に記載する必要があります。
①目的(会社の事業内容)
➡新規事業内容を追加したり、旧事業内容の全部又は一部を削除したりすることができます。ただし、事業目的の記載は1.適法性、2.営利性、3.明確性の3つの条件を満たす必要があります。
②商号(会社の名称)
➡例)合同会社サトウ→株式会社サトウ
合同会社サトウ→株式会社イノウエ
といった形で名称を変更することも可能です。
③本店所在地
➡変更不可。組織変更直前の合同会社の本店の所在地になります。
④発行可能株式総数
➡株式会社における発行可能株式総数の上限です。
⑤上記以外に定款で定める事項
➡合同会社の定款と株式会社の定款は異なるものです。組織変更後の株式会社の定款を別途作成する必要があります。定款に記載するべき事項は通常の株式会社とほぼ同じですが、通常の株式会社の設立とは異なり、公証人の認証は不要となります。
⑥役員の氏名(取締役、会計参与、監査役、会計監査人)
➡合同会社の役人を選任することもできますし、無関係の人を組織片恋雨後の株式会社の取締役や監査役に選任することが出来ます。
⑦合同会社の社員が組織変更後に取得する株式の数又はその数の算定方法
➡組織変更をする合同会社の社員(出資者)が組織変更後の株式会社において保有する株式数の合計数を定めます
⑧株の割り当てに関する事項
➡組織変更をする合同会社の社員(出資者)が、組織変更後の株式会社において株式を何株ずつ保有するのかを定めます。
⑨効力発生日
組織変更計画書で定めた事項と定款の記載は一致させる必要があります。
組織変更計画で定められた効力発生日の前日までに得る必要があります。
組織変更手続きにおいて、法務局に登録する株式会社として実印(代表取締役の印)が必要になります。
1,組織変更をする旨
2,会社の債権者が一定期間内に、その組織変更に対して異議を述べることができる旨
を官報に公告し、なおかつ会社が把握している債権者に対しては債権者それぞれに各別に催告しなければなりません。その一定期間内(官報公告掲載日及び個別催告日の翌日から1ヶ月以上)に債権者から異議の申し出がなかった場合には、その債権者は組織変更について承認したものとみなされます。
異議を述べた債権者が現れた場合には、その債権者に対して会社は、弁済するか、相当の担保を供するか、又は債権者に弁済することを 目的をして相当の財産を信託会社等に信託しなければなりません。
この時点で、「広告をしたことを証する書面」「催告をしたころを証する書面」の作成をする必要があります。
異議を述べた債権者がいないことが確認できれば、上申書の作成もします。
債権者保護手続きが完了していれば、組織変更計画で定めた日に、組織変更の効力が発生します。
変更後株式会社の代表取締役の選定は、組織変更の効力が発生した後に、通常の代表取締役の選定手続により行います。
具体的には、取締役会を開催して、取締役の中から代表取締役を選定します。
組織変更計画の効力が発生したら、まずは取締役と監査役に、それぞれ就任承諾書に記名押印してもらいます。
取締役と監査役が就任を承諾したら、取締役会を開催します。代表取締役を取締役会で選定するために、取締役会議事録を作成しましょう。
登記申請日当日に必要なものは以下になります
・合同会社の組織変更による株式会社の設立登記申請書
・登録免許税に関する証明書
・別紙
・印鑑届書
・合同会社の組織変更による解散登記申請書
以下、すでに前述したもの
・組織変更計画書
・総社員の同意書(同意書と組織変更計画書と定款を一緒に閉じて、契印したもの)
・取締役及び監査役の就任承諾書
・取締役会議事録(代表ろり締まり役の就任承諾書を兼ねる)
・催告をしたことを証する書面
・債権者保護手続きに関する上申書
・就任する役員の本人確認証明書(住民票記載事項証明書。、印鑑証明書など)
・広告が掲載された漢方の原本
・官報公告掲載費用 約30,000円(文字数、行数等により若干変わります)
・登録免許税 60,000円(60,000円を超える場合もあり)
※資本金×1000分の1.5+30,000円(60,000円以下は60,000円となる)
メリット・デメリット
株式会社のメリット
・合同会社よりも知名度が高い
合同会社と比較すると、株式会社の方が知名度は高いといえます。株式会社であれば、合同会社のようなネガティブイメージを持たれる心配がないという点で、大きなメリットといえるでしょう。
・株を発行して資金調達ができる
株主を募り出資を得ることができるのは、株式会社ならではの大きなメリットです。また、株主は、出資額以上の責任を負うことがない間接有限責任となります。そのため、出資額以上のリスクを負うことがなく、投資しやすいといったメリットもあります。
株式会社のデメリット
・出資額に応じて利益配分が決まる
会社の利益を出資者に還元するとき、合同会社は配分の基準を自由に決められますが、株式会社では出資額に応じて利益を配分することになります。「出資額は少ないけれど、会社への貢献度の高い出資者に多く利益を配分したい」というようなことはできません。
・合同会社に比べて、設立にかかる費用や手続きが多い
株式会社と合同会社では会社設立にかかる費用や手続きが異なります。たとえば、株式会社は定款を作成した後、公証役場で認証を受ける必要があり、この認証手数料が資本金額に応じて3万円から5万円かかります。合同会社は定款の認証を受けなくてもいいので、公証役場での手続きや手数料は不要などの費用面での違いがあります。
・決算公告の義務があり、掲載料もかかる
決算公告とは、会社の成績や財務状況を出資者(株主)や債権者に明らかにし、取引の安全性を保つために行うものです。合同会社には決算公告の義務はありませんが、株式会社には毎年必ず決算公告を行う義務があります。一般的に、決算公告は官報に掲載しますが、7万円程度の費用がかかります。電子公告の場合であっても1万円程度の費用は必要になってきます。
まとめると、生じてくる義務や、株の発行などによる、費用、資本面ともに、金銭的な部分での違いが大きいといえるでしょう。
以上が、合同会社から株式会社への組織変更に関する解説になります。必要な手続きや書類も決して少ないわけではなく、同意の確認や、公告掲載など時間のかかるものもありますので、余裕を持ったスケジュールでの準備を行うと良いでしょう。